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ポールスミスのグローバル展開
 出張のために二週間滞在したサンフランシスコのホテルは、ブティックが立ち並ぶユニオンスクエアから二、三ブロックほど離れたところに位置していた。日本でいうところの丸の内仲通りから一kmもないところのような場所だ。
 ファションデザイナーのポールスミスが年に二回ほどのペースで来日するたびに、イベントに参加して、一緒に写真などを撮り、少し話もするほど好きな私は迷わずポールスミス・サンフランシスコ店を訪れた。
 お店はブティックが立ち並ぶ場所の中心部からやや外れたところに位置しており、日本と同様にシンプルな外見に、ユニークなディスプレイが道を彩っていた。外から見たそのお店は二十四歳の私でも入りやすいような店構えだ。
 
 しかしながら、一歩店に足を踏み入れると、日本のそれとは違う雰囲気を私は感じ取った。「こんなところに、どうしました坊や」感が含まれたスタッフの視線が、私の心を貫く。この違和感はどこから来るのかと、いつもしているようにゆっくりとアイテムをチェックしていると気づいたことがある。日本の商品よりも単価が高い。
 ポールスミスというと、日本における地位はお洒落で、かつそこまで高くはない。大学生が少し背伸びをして購入することができる5000円以下のTシャツなども取りそろえている。しかしながらサンフランシスコ店では、いやきっと全米ではポールスミスはもっと格が高いブランドとして扱われているのだろう。私が物色している間にやってきた、常連らしき50代くらいのオジサマは、上品でダンディだった。
 日本のポールスミスが安いのには理由がある。本国イギリスでも扱われている、いわゆるメインライン(ショーなどに使われるライン)とは別に、購入しやすい価格帯のポールスミスジーンズなどの日本固有のラインを展開しているからだ。もちろんポールスミス自身のチェックが商品に入るが、素材などはメインラインと比べると落ちる。ただ割と着やすいデザインのものが多く、非常に購入のハードルは下がる。
 このような取り組みはBurberryなども有名ブランドも行っており、日本ではBurberry Black Labelという独自のラインを展開している。こちらもメインラインよりもやや値段が低い商品を展開している。
 
 なぜこのような、ブランドとしての格を落とすようなラインを展開するのだろうか?こうした取り組み、考え方に関して、ポールスミスは日本で来日した際に、モード学園での講演において説明した。ビジネスとして成り立つことも大事だと。
 個性を強調し、エゴの塊だけで成り立っているようなブランドも存在するが、奇抜さゆえに、固定のファンがいるが、ビジネスとして継続できないケースもある。マドンナのステージ衣装なども手掛けたことがあるJean Paul Gaultierの福岡店は固定のファン(私)はいたが、いつ訪れても人は少なく、潰れてしまった。またヨウジヤマモトのような有名ブランドまでもが破産するという事態に陥いる現状もある。
 ポールスミスは日本において、メインラインの格の高さも見せつつ、低価格のラインも展開し、老若男女の幅広い層から愛されている。パリ、ロンドンなどでコレクションを展開するファッションブランドのなかでも、グローバル展開に成功したブランドの一つと言える。
 
 現在ファッションに限らず、あらゆるビジネスにおいて市場は国内だけでなく、国外に展開していくことが当たり前になってきている。これは実態をもったメーカーだけに限らず、アマゾンなどのインターネット上のショッピングモール、facebookなどのSNSなどにも当てはまる。
 グローバル展開をしていくなかで、各企業及びブランドは自社の製品・サービスのブランドとしての価値を、各国においてどのように位置づけるのかを見定める必要性がある。自国で成功しているからといって、海外で成功しているとは限らないからだ。
 
 日本のトイレメーカーのTOTOなどの場合、低価格競争を挑むとアジアに負けてしまうので、高級路線で海外に展開をしている。日本を訪れたハリウッド俳優が、日本のトイレに感銘を受けて購入するというケースがよくあるくらいだ。
 ブランドとしての個性を残しつつ、地域・各国にあった展開をしていく必要がある。故にターゲットを明確に捉え、適切な方法で拡大してかなければならない。いい商品を作れば、勝手に買ってくれるなんて甘い世界では。スマートフォンで洗濯機を起動するような、馬鹿馬鹿しいことをしている時間は日本の企業に残されていない。

 
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201309160207
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