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コンプライアンス 服従の心理
 観終わったあとに後味の悪い映画というものがこの世の中にはある。それは=面白くない映画という訳ではない。その多くは映画を通して何かを訴えたい、伝えたい、そういう気持ちがこもっている作品だ。例えば『それでも僕はやってない』や『さまよう刃』などがそれにあたる。観ていて気持ちのいい作品ではないが、メッセージは伝わるし、評価もされる。本作もそういう映画にあたる。
 
 本作はアメリカのマクドナルドで実際に起きた事件を基にしたものだ。忙しい金曜日の夜に警察を名乗る電話で「店員の少女が盗みを働いている。捜査に協力してほしい」と聞かされた女性店長が、電話の命令に従って少女を裸にしてしまう。
 
 「現実的にこんなこと本当に起こるの?」と思われるかもしれない。ただこの事件はアメリカで多くの州で行われており、その構造は日本の「振り込め詐欺」に大きく似ている。誰にでも起こりうる出来事の教訓となる映画になるだろう。
 
 私たちはどうしてこういった事件に引っかかってしまうのだろうか?。倫理や規範にのっとって行動することが現代社会では求められている。どこの会社もコンプライアンス、法令遵守と大きな声で謳っている。マジメな店長は自分より上の立場の指示だと信じた電話に逆らえず、疑うことなく従ってしまう。「みんながそうしてるから」と場の雰囲気を感じ取る、いわゆる「空気を読むこと」が求められる風潮も事件を引き起こす一因なのかもしれない。
 
 こうした事件の被害者にならないようにするためには、言われたことを素直に受け止めるだけではなく、少し客観的に物事を見て、疑う心が必要だ。マジメな人ほどこの映画を観てほしい。この世の中は正直に溢れているわけではないのだから。
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さよなら渓谷
 昨日6月22日に公開がスタートされる『さよなら渓谷』の初日舞台挨拶が、新宿武蔵野館で行われた。映画の上映後、100人を超える映画ファンの前に大森立嗣監督、主演の真木よう子、大西信満、鈴木杏、鶴田真由ら5人が登壇し、15分ばかりトークを繰り広げた。

 本作は『パレード』、『悪人』、『横道世之介』などの原作者として知られ、「パークライフ」で芥川賞を受賞した作家・吉田修一の同名の小説を、三浦しをん原作の『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣監督が映画化したものだ。各作品ごとに異なった表情を見せる吉田修一には映像化のオファーが止まらない。本作も大いなる期待を持って、公開初日を迎えた。

 物語は自然が豊かな渓谷で幼児の殺害事件が発生し、容疑者として母親が逮捕されるところから始まる。隣に住んでいる尾崎俊介(大西信満)がその容疑者の母親と不倫していたのではないかという疑惑が、俊介の妻かなこ(真木よう子)の警察への証言によって浮かびあがる。事件を取材する週刊誌の記者、渡辺(大森南朋)がさらに調査を続けていくうちに、尾崎夫妻をめぐる15年前の衝撃的な秘密にたどり着いていく。

 渡辺がたどりついた秘密については、ネタバレになるので映画を観て確認してほしい。物語の重要な軸となるのはなぜ尾崎俊介とかなこが一緒にいるのかということ。映画の最初の方はただの一般的な夫婦のように見えるが、徐々にその関係性がただの夫婦ではないことがわかる。一緒にいるのは愛なのか、償いなのか、憎しみなのか。二人の間に流れる何とも言いようのない空気感が、ひしひしと伝わってくる。

 そして尾崎夫婦と対となるように、記者の渡辺夫婦が描かれている。映画の大きな軸となる15年前の秘密とは別に、夫婦とは何なのか、男と女のどういった関係性なのかがこの映画のサブテーマと言えるかもしれない。この部分に関しては少しばかり映画の展開的に強引だったのは否めない気がする。

 全体としてはあまり一般受けする面白さではなく、賛否が大きく分かれる(それも否が多い)作品となりそうだ。この作品に関しては微妙な心理描写が多く、文章だからこそ表現できた物語だと私は思う。

 しかしながら『ベロニカは死ぬことにした』、『ゆれる』以上の真木よう子と大西伸満の濡れ場はPG15だけにきっと殿方を満足させるに違いない。最後に本日初めて真木よう子のご尊顔を拝めさせて頂いたが、テレビで見る以上に顔が小さく、スタイルも抜群で、サバサバとした性格を舞台挨拶でも見せていた。ああ真木よう子の旦那が羨ましい。


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